• サブスク会計学

    サブスクリプションビジネスを行う上で必要なサブスクリプションの会計的特徴や指標、分析手法など「サブスク会計」に関する情報を発信しています

    サブスクリプションビジネスが
    いつまでも儲からないように見えるわけ【その1】

    サブスクリプションとは何だろう

    昨今サブスクリプションが注目され、多くの企業がビジネスモデルをサブスクリプションビジネスに移行しようと試みています。しかし、サブスクリプションを提供する企業の多くが黒字化できていなかったり利益率が低いままであったりします。一見、利益追求という意味では非合理なビジネスモデルにみえます。しかし、サブスクリプションの会計を理解すれば、一見儲かっていないように見えても、合理的な理由が存在し、本当は儲かっているのだということが理解できます。

    サブスクリプションビジネスが
    いつまでも儲からないように見えるわけ【その2】

    サブスクリプションとは何だろう

    サブスクリプションビジネスを評価するにはサブスクリプションビジネス特有の収益の発生について理解する必要があります。売り切り型のビジネスと異なりサブスクリプションビジネスでは収益が繰り返し継続的に発生します。そのため年度途中に獲得した契約による収益を年度単位で区切ってしまうと、当該契約の総額のうち一部しかその年度内に計上されず、残りの部分は次年度以降に繰り越されます。これにより年度単位に区切る財務会計ではサブスクリプションビジネスの収益獲得力を過小評価してしまいます。また次年度に繰り越されることが当年度中に確定するため、次年度の収益見通しの確度が高くなり、収益拡大のための費用を積極的に投じやすくなります。これにより、サブスクリプションビジネスは本当は儲かっているのに儲かっていないように見えることがあります。

    サブスクリプションビジネスが
    いつまでも儲からないように見えるわけ【その3】

    サブスクリプションとは何だろう

    発生主義会計では収益と費用の対応が求められていますが、常に対応しているわけではありません。費用の計上が先行し収益が遅れて計上されることがあります。サブスクリプションビジネスを発生主義会計で捕捉しようとすると契約獲得のための活動の費用が先行して計上され、収益は遅れて長い時間をかけて計上されていきます。そのため年度で区切ってしまうと費用が先行しているので、本当は儲かっていても儲かっていないようにみえてしまうのです。ですからサブスクリプションビジネスを正しく把握するには財務会計だけではなく、サブスクリプション会計が必要になります。

    多様なLTV

    サブスクリプションとは何だろう

    LTVはその顧客が生涯にもたらす価値といった意味です。この定義に多義的な要素は無いように思われます。しかし、いざ計算しようとすると価値とは何か生涯とは何かといったことの検討に迫られます。それが故に多様なLTVが巷に溢れています。それらのLTVはそれぞれに正しいものではありますが、それぞれに意図があります。実際にビジネスで活用するためには価値とは何か生涯とは何か、そして実務上はどのように扱われているかといった考え方を知る必要があります。

    LTVとユニットエコノミクス

    サブスクリプションとは何だろう

    サブスクリプションビジネスではROIの計算にユニットエコノミクスという指標を用います。ユニットエコノミクスは投資採算計算だけでなく、現状把握と改善のためにも活用される重要な指標です。ユニットエコノミクスの計算に用いるLTVは収益ベースのものと利益ベースのものがあります。収益ベースのLTVを用いた場合は集計が簡便であり、それが故に迅速な報告と意思決定が可能になりますが、精確性に欠けることなります。他方、利益ベースのLTVを用いた場合は精確であるものの、費用の集計に手間がかかり、それが故に報告と意思決定の速度は遅くなります。LTVはユニットエコノミクスの計算に用いることを前提に、それぞれの特徴を理解して活用する必要があります。

    時間価値を考慮したユニットエコノミクス

    サブスクリプションとは何だろう

    ユニットエコノミクスは時間価値を考慮していません。しかし、サブスクリプションビジネスの定義は「顧客との継続的な関係が担保された状態」であることから、その顧客との関係を構築するために投じた費用の効果は長期にわたり発現することが前提にあります。長期にわたり効果が発現するものへの投資判断には時間価値を考慮する必要があります。実はユニットエコノミクスの構成要素であるLTVとCACを現在価値に割り引くだけでユニットエコノミクスの計算式はNPVとPIというファイナンスで用いる投資採算を計測するための指標と同じ形になります。

    期間想定がないときのLTVと現在価値の計算

    サブスクリプションとは何だろう

    LTVは平均単価に平均継続期間を乗じることで算出できますが、期間の想定が無いなど平均継続期間を把握することが困難なことも多々あります。そのようなときは解約率を用いることで平均継続期間を推計することが可能です。さらに、解約率によって計算したLTVであっても現在価値を計算することが可能です。そもそも正しい解約率とは何かという別の問題が想起されるものの、期間把握の難しさを考えれば解約率によってLTVが計算できることの利便性は無視できません。

    成長率とCAC回収期間

    サブスクリプションとは何だろう

    回収期間法は回収期間の長短で投資案件を評価する投資採算計算の手法として広く知られています。サブスクリプションビジネスにおいては契約獲得という投資行動を恒常的に行うため、回収期間法は回収期間の長短を知ること以上の意味を持つようになりました。それは、①契約1件当りと全体とでは回収期間にギャップがあり、②投資規模を大きくした方が営業損失の底は深く資金需要が大きいが、回収期間経過後の営業利益は大きくなり、③回収期間が短いほど高い成長率が許容される、といったサブスクビジネスの成否を分ける重要な示唆となります。

    投資採算計算のためのLTVを求める解約率

    サブスクリプションとは何だろう

    投資採算計算にユニットエコノミクスを用いる時、LTVを求めなければなりませんが、LTVは契約等で利用継続期間が保証されていない限り、推計するしかありません。解約率を用いれば推計可能ですが、そうなると解約率を求めなければなりません。
     解約率を求める方法は実に多様です。方法が多様であるが故に、投資採算計算という目的に照らし合わせて正しいLTVを求めるための正しい解約率とは何かが問題になります。

    サブスクリプション会計の損益計算書【その1】

    サブスクリプションとは何だろう

    財務会計はサブスクリプションビジネスにおける収益獲得のための活動の費用を先に計上し収益を後から計上します。そのため、短く区切った会計期間の中では収益と費用が対応しません。その収益と費用の対応を補正するにはサブスクリプションビジネスのための会計が必要であり、サブスクリプション会計の損益計算書が求められます。サブスクリプション会計の損益計算書は販管費をS&Mとそれ以外の費用に分け、ARRを認識することによってS&Mに対応する収益を捕捉します。

    サブスクリプション会計の損益計算書【その2】

    サブスクリプションとは何だろう

    サブスクリプション会計の特徴として予測可能性の高さを挙げることができます。予測可能性の高さはARRによってもたらされます。また次年度の売上高予測はARRを土台にしてつくることができます。このようにしてつくられた予測によって、将来収益の獲得のための営業やマーケティングといった活動にどの程度までなら費用を投下することができるかを前もって把握することが可能になります。このように予測可能性が高いが故に成長投資と健全性維持のどちらを優先させるかといったコントロールを比較的容易に行えます。

    サブスクリプション会計の損益計算書【その3】

    サブスクリプションとは何だろう

    サブスクリプション会計の損益計算書は月次損益にも適応できます。月次損益計算書は3つのパートで構成されます。年間収益パートではARRによって今時点から1年間の収益力を毎月把握することが可能です。月間収益力パートによって月間での収益力が把握でき、その年度の売上高の見通しが立ちます。損益パートは財務会計の営業利益と一致させます。
     また販管費をS&M除く販管費とS&Mに分けて把握します。これにより、今年度は残りいくらまでであればS&Mを投下できるかを月次で把握することが可能になり、S&M投下量をコントロールすることで年度の営業利益をコントロールできます。

    定期収益の予測確度別分類と期待ARR

    サブスクリプションとは何だろう

    サブスクビジネスの収益は定期収益と非定期収益に分類することができます。定期収益はさらに契約形態と課金形態によって4つのセグメントに分けることができます。契約形態と課金形態が異なれば将来収益の予測確度が異なりますので、セグメント別に期待ARRを算出することでより確かな売上高予測をすることができるようになります。期待ARRは期末ARRに実現可能性を乗じることで算出されますが、実現可能性は継続率によって代替されると考えられます。

    固定収益会計と売り切りビジネスの再定義

    サブスクリプションとは何だろう

    売り切りビジネスであっても顧客が固定化すれば収益が継続的に繰り返し発生し定期収益のような性質を持つようになります。つまり顧客との関係性によって収益は定期と非定期の分けられるということです。顧客との関係性によってセグメントを分けた管理会計として固定収益会計というものがあります。固定収益会計を応用することで売り切りビジネスも顧客との関係性次第でサブスクビジネスに再定義することが可能になります。

    定期収益と固定費からみる「変動幅」と「時間差」

    サブスクリプションとは何だろう

    サブスク会計は収益の質に拘る会計でもあります。定期収益は非定期収益に比べ安定的且つ継続的に獲得できる収益であるため予測可能性が高いだけでなく、外部環境の悪化による急激な需要減の影響を受けるまでに時間差があり、収益の変動幅が小さいことから、固定費を安定的にカバーし、突然に赤字に陥るということを回避しやすいという特徴があります。

    LTV無限大?ネガティブチャーン

    サブスクリプションとは何だろう

    収益ベースの解約率のことをレベニューチャーンと呼びます。レベニューチャーンはグロスチャーンとネットチャーンがあります。ネットチャーンがマイナスのとき、ネガティブチャーンと呼びます。ネガティブチャーンは既存顧客が減少しているのに残った顧客からの収益だけで増収している状況をいいます。解約率を用いてLTVを計算する時、無限等比級数の和の公式により単価を解約率で除するだけで求めることができましたが、ネガティブチャーンを達成すると解約率がマイナスなので、無限に発散してしまいます。つまり、ネガティブチャーンの達成はその企業が無限に成長する可能性を示唆しているのかもしれません。

  • Subscription Analytics

    サブスクリプションビジネスのKPI (Key Performance Indicator)はこれまでの売リ切り型のビジネスとは異なります。新たにデジタルトランスフォーメーションを実行しようとする企業様にも、目標管理や達成度など、日々のデータを分析することは、次の意思決定にも必要となります

    主な分析内容

    ●事業全体、商品単位での分析
    ●分析対象とする年度開始月を自由に設定
    ●売上高を定期収益と非定期収益に分析、定期収益はさらに増減要因別に分析
    ●アップグレード、クロスセル分析

    グラフィカルに状況を把握

    《売上》売上高/年度累計売上高/単月売上高
    《顧客》顧客/顧客数/解約率(顧客数ベース) 《LTV》LTV/LTV(収益ベース)/平均客単価/解約率(MRRベース) 《MRR/ARR》MRR/ARR/ARR増減/累計MRR増減/単月MRR増減
  • 「SMARTサブスクリプション 

    ~第3世代サブスクリプションがB to Bに革命を起こす!~」

    発行:東洋経済新報社

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