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    ITディストリビューターのSB C&Sは、今後も急拡大が予想される日本のSaaS市場やサブスクリプション市場に向けて、「ClouDX」の契約・更新管理機能に加え、ECストアの立ち上げ機能などを実装した販売パートナー向けの新たなプラットフォーム「ClouDXPlatform Edition」をリリースした。さらに、そのプラットフォームサービスの提供を担う新会社「ITplace」の設立、ベンダー企業と販売パートナーをつないだSaaSビジネスを包括的にサポートする「Cloud Service Concierge(クラウドサービスコンシェルジュ)」など、積極的な施策を展開している。この一連の取り組みの背景にある狙いについて伺った。(聞き手:ビープラッツ代表取締役社長 藤田健治) 。

     SaaSビジネスを促進する“場”の創造でパートナーエコシステムの拡大に挑む

    拡大するSaaS市場に向けたSB C&Sの基本戦略

     

    ―SB C&S としてパートナー戦略における新会社 ITplace の設立の目的をお聞かせいただけますか。

     

    守谷 SB C&S が推進する一連の取り組みの背景には、SaaS ビジネスにしっかり注力していくという目的があります。各調査でも SaaS 市場はますます拡大すると見ており、先行するアメリカではSaaS 商材の利用が圧倒しています。同じようなシチュエーションが日本でも確実に訪れると予想しており、私たちも IT ディストリビューターとして多くの SaaS 商材を、販売パートナーを通じて拡販していければと考えております。

    とはいえ SaaS 商材は、ご注文をいただく際の申し込みをはじめ少し面倒な手続きを踏まなければならず、多くのベンダー企業が採用している月額制の課金体系などに対して、仲介する販売パートナーは請求・支払いの処理に苦労することがあります。そうした手間のかかる部分を簡素化し、より容易に SaaS 商材を取り扱える環境を作ることが、IT ディストリビューターとしての務めです。

    そこで今回、ITplace という新会社を設立し、プラットフォームの展開を進めていくことになった次第です。これを機にビープラッツとの連携もさらに深め、私たちのプラットフォームとさまざまな SaaS 商材・サービスコンテンツをワンストップで提供していくことを目指します。

    ―ITplace という社名には、どんな思いが込められているのでしょうか。

     

    守谷 IT に加えて Place という言葉を含めたことには、多くの販売パートナーが集まる“場”となるプラットフォームを提供していきたいという思いがあります。ちなみに会社ロゴを見ていただくと「P」の文字のみ色を変えています。これは Partnerや Professional、Product など、IT に関わるさまざまな「P」を実現していくといった意味を表しています。

    販売パートナーに恩恵をもたらす

    新たなプラットフォームとSaaSの専門サポートチーム

    ―販売パートナー向けの新たなプラットフォームである「ClouDX Platform Edition」について、その特徴や狙いを教えてください。  

     

    守谷 「ClouDX Platform Edition」についてお話しする前に、まず SB C&S として数年前から展開してきた「ClouDX」からご説明する必要があります。私たちはサブスクリプション商材について、その契約情報をしっかり管理していくための取り組みを進めてきました。エンドユーザー企業が当社の販売パートナーに発注し、当社を経由してベンダー企業に発注するという商流の中で、契約の更新情報を販売パートナーに確実に提供することがディストリビューターとしての責務であるからです。

    サブスクリプション商材では、契約更新などの情報はベンダー企業から直接エンドユーザー企業に提供されるのが一般的です。しかし、販売パートナーのチャネルを通じた場合、この情報提供がスムーズに行われなくなることがあるため、そこを私たちが補完する必要があります。

    ベンダー企業ごと、あるいは商材ごとにライセンス体系が違えば、課金体系も違うので、契約情報を単一のデータベースで一元的に管理する「ClouDX」の提供を始めました。さらに今後の SaaS 市場の広がりを受けて、マーケットプレイスを通じた受発注がパートナービジネスの世界でも当たり前となっていく将来を見据え、「ClouDX」を機能強化した「ClouDX Platform Edition」を 2023 年 2 月にリリースしました。

    ―販売パートナーは大きな恩恵を得られますね。 

     

    守谷 販売パートナーはこれまで、お客様を訪問して商材を提案するという活動を一般的に行ってきました。しかし、ミレニアム世代、Z 世代といったデジタルネイティブ人材がどんどん社会に進出している昨今、これらの方々は B to B 領域の商材についても違和感を抱かず EC ストアを通じて調達するケースが増えています。

    当然業種ごとに温度差が異なるケースはありますが、すでに B to C 領域では当たり前となったマーケットプレイスを通じた購入スタイルがこうして B to B 領域でも広がっていく中で、先行してその機能を持ち、エンドユーザー企業へ提供できることは、多くの販売パートナーの皆様に魅力を感じていただけると考えています。

    ―「ClouDX Platform Edition」に加え、「Cloud Service Concierge」という拡大する SaaS 市場でのビジネスに対応するための SaaS 専任チームも発足されましたが、こちらについても教えてください。

     

    守谷 販売パートナーの皆様には積極的にSaaS 商材を取り扱っていただきたいと思いますが、次々にリリースされる SaaS 商材は膨大な数に上るだけに、その一つひとつを詳しく理解しながら提案・販売活動を進めていくのは容易なことではありません。

    そうした部分を私たちがご支援できれば、販売パートナーは今まで以上に効果的な販売活動を展開できるようになります。SB C&S が注力する SaaS 商材について、ベンダー企業から正確な情報を直接いただき、私たちのメンバーもしっかりトレーニングを受け、豊富な知識とスキルを身に付けて、ご支援ができる体制を昨年から立ち上げ、フィールドセールスやマーケティングのチームを中心にサポートを展開してきました。

     

    販売パートナーと伴走しながら市場拡大にアプローチ

     

    ―IT ディストリビューターはどちらかといえばベンダー企業寄りの立場にいるイメージがありますが、SB C&S はそれとは大きく異なり常に販売パートナーと同じ目線に立ち、サブスクリプション市場に「ClouDX Platform Edition」と「Cloud Service Concierge」という新たな武器で一緒になって攻勢をかけているイメージでしょうか。

     

    守谷 おっしゃるとおりです。人によるサポートとプラットフォームによるサポートを両輪で展開していくことが、今後の SaaSビジネス、ひいてはサブスクリプションビジネスにおいて、ますます重要になっていくと考えています。

    先にも申し上げたとおりアメリカではSaaS 商材の利用拡大が著しく、日本が一足遅れで追いかけていることを踏まえれば、これからの数年で同様に SaaS 商材の利用率が一気に高まることが予想されます。私たちは販売パートナーと手を携えながら、そうした市場の拡大にしっかりアプローチできる体制をつくっていきます。

    エンドユーザー企業が SaaS を使い始めると、当然販売パートナーに相談を持ち掛けるケースも増えていくでしょう。その際に受発注や契約に関して課題となる部分を「ClouDX Platform Edition」や「Cloud Service Concierge」で解決に導いていければと考えています。

    ―最後に、今後のサブスクリプション時代に向けた構想をお聞かせください。

     

    守谷 私たちのプラットフォームではSaaS 商材から取り扱いを開始しましたが、世の中を見渡すと、多様な商材・サービスがサブスクリプション化され始めています。IT の分野でもサーバーやストレージなどハードウェア製品のサブスクリプションや、ネットワーク機器のサブスクリプションなど、加速的にサービス化が進んでいる傾向が見られます。そうした製品についても SaaS 商材と同様に単一のプラットフォーム上で取り扱いできる形にしたいと考えています。

    多くの法人向けSaaS商材が提供される中、SaaS事業者ごとにライセンス体系や月額/年額などの課金体系(サブスクリプション)が異なり、商品やサービスの提供方法は複雑化かつ多様化しております。それらを販売するリセラーにとっては、営業・業務処理共に課題となり、同時にエンドユーザー企業も調達・支払い方法および管理方法に課題を感じております。

    こういった背景の中で、SB C&SはITディストリビューターとして40年以上培ってきた経験を活かし、数年前から「ClouDX」という契約管理システムを構築しアップデートしてきました。「ClouDX」は、SB C&Sの販売パートナーからの注文と同時にベンダー企業へ提出が必要な申請書情報および契約情報を管理することにより、販売パートナーが販売したものをいつでも検索し、確認することができ、エンドユーザー企業への販売および提案活動につなげていただけるものとなっております。

    欧米諸国のSaaS利用の拡がりと同様に、今後は日本国内でも企業のSaaS利用がより一層進んでいくことが予測されます。現在、多くのSaaS商材はSaaS事業者とエンドユーザー企業の直接契約が一般的となっております。しかしながら、エンドユーザー企業では製品の選定、導入する際の相談、導入後の運用などの包括的な支援に課題を感じており、販売パートナー経由での契約のニーズも高まっております。SB C&Sでは全国約12,000社の販売パートナーを通して、多くのSaaS商材を取引できる環境を整えることにより、日本国内のSaaS利用の促進とビジネスの発展に寄与したいと考えました。

    そこでこの度、「ClouDX」の機能を大幅に強化した「ClouDX Platform Edition」をリリースいたしました。B to Cのビジネスではさまざまなマーケットプレイスからの購入が一般的になってきており、B to Bのビジネスにおいても同様のことが起きると考えられます。こういった市場の背景も踏まえ、「ClouDX Platform Edition」では、販売パートナーが独自のマーケットプレイスを構築し、SaaS商材を販売できるストア機能を備えております。同時にサブスクリプション商材の仕入から販売に至るまでの多くの機能(仕入管理、商品管理、顧客管理、見積管理、注文管理、契約管理、売上管理、請求管理)を備えております。

    「ClouDX Platform Edition」をご利用いただくことで、販売パートナーの新たな販売手法を創出し、新たなビジネス展開を導き、運用効率を高めることで、販売パートナーのDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献できればと考えております。

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    守谷 克己(もりや かつみ) 氏

    SB C&S株式会社 執行役員

    ITplace株式会社 代表取締役社長

    編集・発刊株式会社サブスクリプション総合研究所

    2023年4月1日発行 通巻11号「Subscription YOU 特別号」

    Web公開日

    2023年7月13日

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